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インドニュース
インドコラム記事
[09/01/06-16:44]
【コラム】インド生活(3)「住」─ 根気よく育てるように、住環境を調える(体験談)[坂田マルハン美穂 ]
われわれ夫婦は、インド移住後1年目が過ぎたころ、バンガロールに新居を購入した。低層アパートメントのグランドフロア(1階)で、庭付き4寝室の物件だ。諸事情につき、購入から2カ月以内に内装工事をすませねばならず、それは怒濤のような日々だった。無事に工事を終え引っ越してからも、電気系統や水漏れのトラブルは尽きず、気が休まらなかったが、2年目に入ったころから落ち着きをみせ、家に深い愛着を感じるようになった。
内装工事の過程を通して、 わたしは「インド流の仕事の在り方」の断片を学んだ気がする。そのごく一部ではあるが、写真を通してご紹介したい。
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【コラム】インド生活(3)「住」─ 根気よく育てるように、住環境を調える(2008年11月25日)
【コラム】インド生活(2)「食」─まるで薬膳のような家庭料理(2008年11月4日)
【コラム】インド生活(1)「衣」─底知れぬ、サリーの魅力(2008年9月26日)
福岡市出身。ライター/エディター/レポーターなど。東京の出版・広告業界を経て、1996年に渡米。ニューヨークで出版社設立。2001年インド人男性と結婚。05年バンガロールに移住。08年〜2010年はムンバイとの二都市生活。著書にポプラ社刊『街の灯』。西日本新聞に『激変するインド』を連載中(月1回)。RKBラジオやFM熊本でインド生活をレポート中。インド生活に役立つ情報満載のホームページはこちら。
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法人様向けインドビジネスニュース/情報サイト『ビジネスプレミアム』

がらんとして何もないリヴィングルーム。全室、このような状態だ。まずは大工の棟梁とともに内部の寸法チェックをし、クローゼットの配置やキッチンのデザインなどを打ち合わせる。
クローゼットやキッチンのラフデザインを自分で仕上げた後、インテリアデザイナーにコンピュータで起こしてもらう。細部をすりあわせた上で、予算に合わせて木材や部品の素材選びをする。面倒でもいちいち見積もりを出してもらい、最終的に決めた予算や完成予定日、支払い方法などを記載した契約書を交わして、作業開始だ。
インドでは、合板ではなく天然木の家具が多いのも魅力。最高級はローズウッドで、チーク材が一般的だが、クローゼットすべてを天然木にしていては、予算が大幅に増えてしまう。プライウッド(合板)にベニア(天然木化粧板)を貼り付ける方法をとった。なお、キッチンは耐久性のある防水加工のラミネートを施してもらう。
屋内に木材が運び込まれ、いよいよ作業開始。十名近い大工衆が、室内で合板を切り、クローゼットを作り上げていく。家中に木屑や埃が飛び散る。大勢いても、必ず作業をさぼっている人が何人かいるのがインド的。
書斎の書棚の一部。ちょっと大きすぎる気がしたので採寸したところ、やはり大き過ぎ。設計図を見誤っていたようで、せっかく完成していたがやり直しだ。「ノープロブレム」と大工衆。現場には毎日足を運ぶことが大切だと痛感する。
現場監督の傍ら、さまざまな部品などを調達に、コマーシャルストリート(地元商店街)へ足しげく通う。ここはムスリム経営の店。クローゼットのハンドルなどはすべてここで購入した。数店舗先にあるおしゃれなインテリアショップよりも安く、品数も多く、不足分はすぐにデリーの工場から取り寄せてくれるなど、非常に頼りになる店だった。その他、天井のファンやギザ、バスルームのホルダー類など、こまごまとしたものはすべてコマーシャルストリートで調達した。
クローゼットの合板に、チーク材のベニアが貼られたところ。表面だけでも本物の木の温もりが伝わって、とてもいい感じ。あとはこの上にニスを塗って仕上げだ。
最も作業が多い台所も着々とできあがっている。オレンジシャツのお兄さんは、換気扇の取り付け業者。排気口をどうするか、大工と話し合っているところ。インドの人々は、初対面同士でも旧知の仲のように、親しげに打ち解けて話をするから、見ていておもしろい。
スケジュールが遅れて当然のインドにあって、超短期間での作業を依頼している。大工衆には気合いをいれてもらいたいところだ。後半は毎日、甘くて濃厚なチャイ(ミルクティー)と菓子類を差し入れた。ちなみに大工衆はみなラジャスタン地方の出身だという。南インドより北インドのラジャスタン地方の職人のほうが腕がよいから、みな故郷から連れて来たとは棟梁の弁。
キッチンの収納棚はラミネート加工の必要があるため、外部に発注したものを運び込む。サイズを間違えて作り直す扉が数枚。それでも仕上がりはかなり美しい。汚れが目立つとはいえ、清潔感のある白を選んだのは正解だった。
ベッドルームのクローゼットが完成。希望通りのいい色合いに仕上がった。
引き出しもスムースに出し入れできて、使い心地もばっちりだ。
クローゼットなどが仕上がったら、最後は壁の塗装だ。各部屋、微妙に壁の色を変えることにした。ペンキは簡単に修復できるものではないから、高品質のものを選んだ。想像していたよりも予算が高かったのが、このペンキ塗りであった。
不安定なはしごだと思っていたら、案の定、ある朝訪れたらあたりにペンキが飛び散っていた。ペンキ塗りのおじさんが、はしごごと倒れたらしい。幸い怪我はなかったが、床や壁のあちこちにペンキが飛び散って、修復に手間取った。
こちらもまた不安定な作業現場。天井のファンを取り付けているところだ。ところでその台に使っているのは、キッチンのアイランドでは?! 「お願い、壊さないでよ!」と言えば、「ノープロブレム」と大工衆。
ナーサリーでたくさんの植物を買い付け、庭の整備も同時進行。また、防犯のために窓という窓に鉄製の扉を付けるため、メタルワークの業者にも来てもらう。鉄筋もまた、庭で溶接をして特製の柵を仕上げる。熱で芝生の一部がぼろぼろに! 「ノープロブレム」と溶接工。
内装工事も佳境に入り始めたころ、現場に赴くたび、「マダム、プロブレム!」の声が。問題があってもノープロブレムなのに、プロブレムといわれた日には、どれほど大問題なのかと、心臓が締め付けられる思いだ。さて、これはプロブレムの一例。ダイニングルームにロフトを作るべく溶接をしていたお兄さんが、カヴァーをかけずに火種を飛び散らし、タイルを傷めてしまった。嗚呼! 信じがたい。この期に及んで、タイル張り替えだ。このあと、タイル代を誰が払うかでもめた。
カーテンや照明を取り付けて(それもまた大騒動だった)、引っ越しをすませ、ようやく完成した我が家。 筆舌に尽くしがたいほど、たいへんな2カ月間だったが、すべて自分でマネジメントしたことで、より深くインドを知るいい経験になった。予算もずいぶん抑えられた。しかしもう、二度とやりたくはない。


